前回高血糖は糖尿病ではなくても日常で起こっており、
それが血管壁に波が打ち寄せるようにダメージを蓄積していく、
それが血管内膜の障害として残り動脈硬化、
ひいてはインスリン抵抗性を高めてしまう、
したがって、高血糖である時間をいかに減らすかが大切という話を書かせてもらいました。
今回はブドウ糖と脂肪の関係、炭水化物を制限するポイントをしていきます。

Contents
■炭水化物ダイエットは体と相談しながら
血糖値が上昇するメカニズムを簡単に説明すると、
まず血糖とは血液中のブドウ糖のことを言います。
ブドウ糖は糖質、炭水化物と言われるものを細かく分解していった時の、
一番小さい部品です。
それがたんぱく質であればアミノ酸というものですし、 脂質であれば脂肪酸とモノグリセリドとなります。
そのブドウ糖というものが血中に吸収されることで血糖値が上がり、 血中から消えれば下がります。
当たり前ですね。
下がる過程については前回記事(糖尿病はどうしてなる)で少し触れましたが、
インスリンというホルモンを使ってエネルギーの材料にするために細胞に運ばれます。
□カロリーで太るわけではない
車がガソリンを燃やしてタイヤを動かすエネルギーを得るように、
私たち生き物は身体を動かすために、ブドウ糖や脂肪を燃やしてエネルギーを作ります。
そのエネルギーの単位がカロリー(Kcal)と言われるものです。
ここで勘違いしてほしくないのが、 カロリーが高いと太ると言われるのですが、
決してカロリーが高い=太ることではありません。(カロリーを気にしては痩せない参照)
そもそもカロリーはただの単位なのでエネルギー自体ではないからです。
したがって数字にだまされずに、 食べているものに、何が含まれることによって、何キロカロリーになっているのか、そこを気にするクセをつけるのが、
いわゆる一般的なダイエットの基本です。
けいたの栄養学ではダイエットを痩せるという意味では使用していないこともその理由です。
□体を騙せるのも少しの間
その身体を動かすためにエネルギー産生するのが一番簡単で、
効率が良いとされるのがブドウ糖です。
炭水化物ダイエットなるものが流行ったのは、
血糖値を下げるインスリンの作用で、余ったブドウ糖が通常運ばれる筋肉や肝臓ではなく脂肪細胞に運ばれ脂肪が増大することだと言われています。
つまり、最初から摂らなければ脂肪が肥えないでしょ、というのが炭水化物ダイエットの考えなのです。
しかし、炭水化物ダイエットの落とし穴は、
もともとあった代謝率に対して、糖質を摂る量を減らすことによって、
体内に強制的な飢餓状態を引き起こすことによって体重が減るというメカニズムが利用されています。
要は、食べる量が減らし、使うエネルギー量が今までと一緒であれば、
運動量を増やしたように体が勘違いをし、
貯蓄している糖質や脂肪を使用するので一時的に体重が低下するのです。
しかし、その減らした糖質に対し身体が慣れると体重が落ちなくなります。
身に覚えがある人がいるのではないでしょうか。
それは摂取量と代謝率のバランスが身体のなかで均衡するためです。
つまり、体の方が一時的な勘違いに気づくのです。
□体を適応させるのは簡単なことじゃない
さらに、怖いのは、
炭水化物を減らすことによって、たんぱく質や脂質の摂取量を増えるので、
将来的な生活習慣病のリスクを高めます。
また急に炭水化物を摂取しだすことによって、
今度は代謝率を落とした身体に対して、ムチを打つように急激に代謝をさせたり、
インスリンやそれを出す膵臓の疲弊、高血糖による血管壁のダメージの増悪と、
いいことは1つもありません。
もし炭水化物をやめるなら徐々に、戻すのにも徐々に。
これは身体の負担を減らすための基本です。
というか、炭水化物はやめない方がいいです。
つづく
▶︎ #けいたの栄養学バックナンバー
【大切な人のための食事】
【炭水化物ダイエットの落とし穴①】【②】
【食物繊維と大腸の関係性①】【②】
【たんぱく質神話①】【②】【③】【④】
【日本の食品安全神話はすでに崩壊】
【カルシウムと骨折①】【②】
【カロリーを気にしては痩せない①】【②】
【栄養バランスの本当の意味】
【食材を選ぶ目を養う】
【良い食事の選択は味覚の育成から】
【野菜の食べ方講座 復習編】
【体重が減るとスタイルが悪くなる】
【動物性たんぱく質のおさらい】
【糖尿病の人が太っているとは限らない】
普段は、看護師と働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramやブログを使って発信しています。「はじめまして」はこちらから。