自験例報告書の書き方〜腎リハ指導士認定試験〜【一部記載例あり】

お久しぶりです、けーたです。

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月半ばに第3回腎臓リハ指導士認定試験について発表されます。
その時、自験例報告書についても発表があると思います。
自験例報告書は第一次試験とも言えるので手が抜けません。

自験例報告書とは症例報告のことで、
腎リハに関してどのような包括的アプローチをしたかを示す報告書のことです。

どの職種であろうと、リハビリの目的は多職種の専門性を持って患者のQOLを高めるアプローチを行うことです。
その多職種の視点を持って関わることを”包括的”アプローチと言います。
指導士には、自身の専門性に加え、その包括的な知識を持った人でないといけないので、
自験例報告を持って、その力を評価しようということです。

ただ、第1回、そして僕が合格した昨年の第2ともに、2例のみの提出が義務付けられています
同様の自験例報告書を提出する必要のある心不全療養指導士は5例、心リハ指導士に関しては10例が義務付けられていることを考えると、
今がチャンスと言えます。
少なくともあと数年のうちに自験例を報告する数が増えることを想定した上で受験を検討するべきと考えています。

というわけで、今回は腎リハ指導士認定試験の書類審査に使用する、
自験例報告書の書き方についてやっていきたいと思います。
流れとしては、腎臓リハビリテーション学会HPに掲載されていた、第2回時の自験例報告書のフォーマットを用いて説明をしていきます。

心リハ指導士を受けたことのある方もいるので、
なるべく慢性腎臓病をもつ患者についてのリハが伝わるものになると幸いです。

では参ります。


 

2020腎リハ指導士試験・講習会まとめ【随時更新】

2020年2月26日

けーた
この記事を書いているのは、看護師歴10年ちょっとの者です。
普段は、専門看護師、心臓リハビリテーション指導士として働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramTwitterブログを使って発信しています。
はじめまして」はこちらから。

まずは、自験例報告書をみてみましょう。

こちら→自験例報告書書類様式6

これを上から丁寧に解説していきますので、
読みながらやってもらったら記載できると思います。
症例についての準備はお願いしますね。

日付から患者情報まで


え?ここもやるの?という感じですがポイントだけお話ししておきたいと思います。

・日付はもちろん提出日、期限までの日付で統一しましょう。

・教育責任者については腎リハに精通した責任医師がいれば依頼をしましょう。

そういった責任医師がいない場合は、所属部署の上司と相談し責任者の選出を依頼することが望ましいと考えます。
間違っても自分とその責任候補者とだけでやりとりはしないようにしましょう。

腎リハ自体が院内で精通していないのであれば、なおさらこれを機に部署内、多部署を巻き込みたいと思っていますよ、というアピールの場にもなります。

入念に準備をしましょう。

・患者情報の年齢、性別は正確に書きましょう。

何歳代とする必要はありません。

 

【診断名】

 

診断名については入院した責任疾患が妥当と思います。
腎リハの自験例報告書を書くにあたり、心リハの症例を利用することがあると思います(僕はそうでした)。
その時、疾患経過、治療経過を記載するのに主疾患による経過を無視できないからです。
つまり、主疾患と腎機能の関連をどのようにアセスメントしたかということも重要な視点になります。

なので、診断名は入院治療を必要とした「原因疾患」、それに加え別でコントロールが必要であった、初めて見つかった、といった病名を記載するのが妥当かと思います。

ただ、CKDの原因の腎疾患(腎炎やネフローゼ症候群など)があれば、メインでなくても付け足しておいても良いかと思います。

 

記載例

心臓手術目的であれば、①虚血性心疾患(多枝病変)、②慢性心不全、③慢性腎臓病(G3a期)

心筋梗塞が主でも、未治療の糖尿病や腎臓病がある場合は、

①心筋梗塞、②2型糖尿病、③慢性腎臓病(G4期)

 

【既往歴】

 

ここは【診断名】との関連が重要になります。
過去の疾患歴において、主疾患、慢性腎臓病に影響しそうな疾患を記載します。
心リハなどであれば冠危険因子を書くところです。
慢性腎臓病などであれば動脈硬化に影響する疾患や症候群(高血圧、糖尿病、脂質異常症)は記載しておきましょう。

また、腎リハでは運動療法を重要視しているので、運動療法に影響を及ぼす身体疾患の記載も必要と考えています。
関節リウマチや整形疾患、閉塞性動脈硬化症、脳卒中などがそれにあたります。
さらに、精神疾患や認知症といった教育支援に影響を及ぼす病態などについても必要であれば記載が必要となるでしょう。

その他、現在がん治療を並行している人もいると考えますので、
活発ながんの活動がなければ抗がん治療による腎臓の影響があるかないかで記載を検討してもらって構わないと思います。
報告書のスペースの問題もあるので、メインの疾患の治療に影響がないものは削ってもっても構いません。

あともう1つ重要なのが、明らかなサルコペニア、フレイルがある場合については記載が必要と考えます。
その場合、後に記載すべき運動態容能や運動指導の記載欄が重要になります。

 

【家族歴】

 

家族歴については、遺伝疾患や生活習慣に関連した疾患がある際に重要な情報となります。
家族性の高血圧やコレステロール血症のある人は動脈硬化性疾患を併発しやすいので、家族に発病者がいないかの確認が必要です。
記載の際に、「家族性疾患なし」とまで書く必要はありませんが、あくまで臨床では気にしましょう。

また、家族の生活習慣病は、患者も同様の生活歴であることを示しているため、食生活、運動習慣の有無などが後半の指導に関わってくる情報になります。
記載するからには、その情報は後半利用するつもりで記載をしましょう。

 

【経過・現病歴】

 

ここではだらだらと入院中の経過について書いてはいけません。

まず限られた報告書ではこれからのことを記載することが重要ですので、
経過・現病歴についてはなるべくシンプルに記載したいところです。

そこで重要なのは、今、患者がリハビリテーションの経過のうちどこにいるのかを意識することが重要です。
ここでは心リハにおける経過の図を見てもらった方がわかりやすいと思います。


心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン

見てもらったらわかるように[急性期]は入院中、[回復期]は退院後、[維持期]は完全に患者自身の力でリハビリを継続する時期です。

現在の腎リハにおいては、本格的に取り組んでいる病院でなければ、
重要なのは[急性期]と[回復期]のポイントを分けて報告できることが重要だと思います。
もちろん自験例については2症例とも[急性期]でも問題ないとは思います。

しかし、経過・現病歴を説明をするときには、
患者がリハビリ経過の中でどこにいるのかをまず記載しましょう

そうすれば、例えば[急性期]では、主疾患や腎臓に影響のある病態や治療の話が中心であり、
リハビリを行うために、急性期のいつどの場面を切り取ったかがある程度詳細にわかるような記載が必要です。

それに対し、[回復期]であれば、[急性期]で行った手術や急性期治療については重要ポイントだけざっくり記載し、[回復期]である退院後の生活に向けたリハビリが、入院中にどのように計画されて行われたかについて、ある程度記載が必要になります。
まずは[病期]記載から始めましょう。

次に、主疾患に対し、何の目的にで入院したか
主疾患の状態について、入院経過を記載します。
心不全であればBNPや主症状、クリニカルシナリオなどの記載があるとイメージしやすいですね。

心筋梗塞では、冠動脈のどの血管が閉塞し、どのような症状が出ているのか、治療後何日目なのかがリハビリの進行具合をイメージしやすいと考えます。
腎臓の検査データでは入院時のデータが重要ですが、それに関わる脱水や利尿治療がどのように行われたのかの記載は必要です。

腎機能を記載する際は、必ずCKDの重症度分類で記載しましょう。

エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018

例えば、G2期、G3aなどです。

僕は自験例報告では、どちらも[急性期]での関わりをどのように[回復期]の運動や生活指導に生かしたかを記載したかったので、2症例とも[回復期]にしました。

記載例
[回復期]CS2心不全増悪(安静時呼吸困難、BNP1500pg/ml)、慢性腎臓病(糖尿病性)の診断で入院となった。腎機能の悪化がないか確認しながら、体液貯留に対し利尿剤とDOBと利尿剤による加療を施行。入院3日目に一般病棟へ転出した。糖尿病の管理不足から慢性腎臓病状態(G5A3)であり、多職種による生活管理、運動療法の教育を開始した。

まとめますが、ポイントはリハビリの時期[急性期][回復期][維持期]のいずれかを書きましょう。
そして、CKDは重症度分類で評価、記載を行い、腎機能に影響した病態や治療があれば簡単に記載しておきましょう。

 

【評価】

 

自験例報告書の記入例に沿って記載します。

内容は、

①身体所見
②腎機能
③運動耐容能
④危険因子
⑤その他 

①身体所見

ここでは、体重、身長、そこから割り出されるBMI、その他血圧などのバイタルサインを記載します。
基本的には数値だけでよく、詳しい説明が必要な場合は、ここで記載した数値を使用して運動処方や患者教育を記載できればOKです。

例えば、「BMI28のため肥満あり」、とまでの記載はいりません。

②腎機能

ここでもなるべく腎機能を示す血液データ、尿データのみを記載します。
主にCREBUNeGFRは必須。

あとはCKDの重症度のため尿たんぱく(または尿アルブミン)、尿糖などは腎機能、
または糖尿病などの影響を示す重要な指標になります。

尿量などが指標となる心不全などがあれば記載をしましょう。
透析患者であればドライウェイト、平均的な徐水量などと併せ、
浮腫や胸水といった体液貯留症状のコントロール状態と共に記載があるとより症例がイメージしやすいと思います。

③運動耐容能

運動耐容能の基本はCPX(心配運動負荷試験)になります。
CPXについて記載するときに必要な情報は、

プロトコール
Ramp10W+10Wなど

CPX中のバイタルに影響を及ぼす薬剤の詳細
βブロッカーやカテコラミンなど

CPXの終了(中止)理由
下肢疲労や呼吸疲労などの疲労、または心電図異常、高血圧、不整脈の出現といった病態異常が挙げられます。病態異常の場合は途中で中止したと考えられるので、検査データとして有効な値かどうか確認が必要です。

Peak VO2ml/min/kg)、Peak 時のHRbpm)、WR(W)

ATAT1分前のVO2ml/min/kg)、AT時のHRbpm)、WR(W)

⑥維持期などでは外来リハ終了時のCPXデータの記載があると親切です

入院前の身体活動量について記載できると尚よい
仕事で荷物の運搬をしている、座った作業が多いなど軽労作~重労作のどれにあたるか、
またそれだが大体何メッツにあたるか記載できると尚良いと思います

CPXができない患者さんであれば、入院中に行った運動機能評価(SPPB、握力、6分間歩行、椅子立ち上がりテストなど)

さらに超急性期であれば、上記⑦同様、入院前の生活からある程度の運動耐容能が予測でき、
ベッド上やベッドサイドでの運動処方に役立ちます

④危険因子

腎臓病の危険因子は一概に言えませんが、

・高齢(加齢)
CKDの家族歴
・過去検診における尿異常や腎機能異常
・腎形態異常
・喫煙歴
・メタボリック症候群(肥満、脂質異常症、高血圧、耐糖能障害、糖尿病)
・高尿酸血症
NSAIDsなど、連用による腎毒性が指摘されている薬の常用
・急性腎不全の既往
・膠原病、感染症、尿路結石など

ここは既往歴とかぶる部分があるかもしれませんが、どちらも重要なことだけ簡便に記載しましょう。

記載例
喫煙歴:20本×30年、糖尿病(HbA1c:10%、インスリン依存)、慢性心不全

⑤その他

生活歴や生活に影響因子を中心に記載しましょう。

・食事や内服は誰が管理しているのか

・普段の生活状況(毎日通勤で片道1kmは歩いている、仕事で外食に頼らざるを得ない、付き合いが多く飲み会が多い、子育てや介護状況など)

・血圧や体重の測定、記録状況

・過去の病歴からすでに取り入れている療養行動(糖尿病で食事指導をうけており、糖質の量や食べ方に気を使っている強み)

・趣味(外に出る趣味があるか、運動に変わるような運動があるか)

・家族の協力体制

・疾患に対する思い(透析はしたくない、家族に迷惑をかけたくない、など)

患者の療養行動への強みと弱みがイメージできると、下部の教育指導に生きていくと考えられます。

記載例
子の進学や転勤、経済的理由などで通院の中断歴があった。しかし、このまま悪くなれば透析になり、さらに家族に迷惑をかけるのではないかという理由から、療養には前向きな発言がある。料理が得意であることから、退院後はこだわりのある食事から療養行動を取り入れたいと管理栄養士の栄養指導を希望している。

 

【その他リハビリ進行上考慮すべき点】

 

これは自験例報告書の記入例にある通り、以下について記載します。

・栄養指導

・内服

・職業

ただ、ここでもポイントは、あくまで次項目の教育指導項目の情報になることを想定して記載しましょう。

①栄養指導

ここでは患者に合わせた摂取エネルギー、塩分、タンパク質量などを記載します。

総カロリー量の計算をどのように行ったか、CKDの重症度に合わせた栄養管理について記載をしましょう。

入院中の食事制限を丸写しするのではなく、なぜその数値なのかを明記できるとなお良いです。

お勧め書籍

慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版

②内服

内服薬の内容を記載します。

記載内容はCKDやその合併症の治療薬に絞り、記載しましょう。

ここで注意するのは、診断名に記載した主疾患の治療薬が記載されていないのは、
その治療薬の理解がないと思われても仕方ないので注意が必要です。

保存期CKDに対する治療薬はあまりありませんが、
腎性の高血圧ではACE阻害薬、ARBCaブロッカー、サイアザイド系利尿薬が推奨されているが、
それらが入っているかどうか、など。

お勧め書籍

エヒンスに基つCKD診療カイトライン2018

③職業

職業についても療養行動への影響や労作の強度などが想像出来る程度の情報の記載があればokと考えます。

 

□ラストスパート

 

さてここからが本番ですが、ブログが長くなってしまうので
ここからは別ページに移動させてください。

ここからは僕の専門性である慢性疾患看護、リハビリ看護、心腎リハ指導士としての知識技術をできる限り多く記していきました。

自分でも頑張ったので、以降については有料noteとさせてただきました。

200円にしました。

高いですか?安いですか?
数日かけて作ったことを考えると時給換算数円ですからいいでしょうかw

「まだ読んでやってもいいぞ」、
「勉強したい」という方はぜひご覧になってください。

続きはこちらから⬇︎⬇︎⬇︎

参考図書

①腎臓リハビリテーションガイドライン


運動処方の基本的なエビデンスはこちらから
試験もほとんどここから出ます。

②腎臓リハビリテーション第2版


多職種の包括的視点を学ぶにはこれ1冊で大丈夫
ガイドラインだけでは網羅できない知識はこちらから

 

2020腎リハ指導士試験・講習会まとめ【随時更新】

2020年2月26日

 
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紹介している本などはこちら

ゴリラクリニック
 

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