最初に更新した時点(2020/1/28)からだいぶ経つので更新します。
最近話題のコロナウイルスの予防法について書いていきます。
というお話をしていきたいと思います。

Contents
■コロナウイルスは普通の風邪のウイルス
結論から言うと、コロナウイルスはどこにでもいるウイルスであり、
普通の風邪をひいた時の原因といわれています。
引用 NIID国立感染症研究所HP
ほとんどの場合が6歳までに感染を経験し、 ほとんどが軽症で済むが、
時より高熱などを引き起こしたり、肺炎の原因にもなります。
つまり、新型だろうが、旧型だろうが予防法は変わらないんですよね。
では、なぜこんなに騒がれているのか。
□過去に重症肺炎を起こしたSARS、MERS
SARS(サーズ)、MERS(マーズ)という感染症が、
2003年と2012年に流行ったのを覚えていますか?
どちらも動物に風邪を引き起こすコロナウイルスが、
種の壁を超えてヒトに感染したものが重症化、蔓延化したことでニュースになりました。
本来、コロナウイルスは、イヌやネコ、家畜や野生動物などに軽症の風邪症状を引き起こします。
そして、ほとんどの場合、それぞれその種にしかない形のコロナウイルスがいることが多く(種特異性が高い)、
そのため、例えばイヌに特異的なコロナウイルスは、ネコにはうつらない、のが普通と言われています。
しかし、今回の新型コロナウイルスも動物から人への感染が原因とされており、
SARS同様、中国のヒトと動物が密集している場所で起こってしまいました。
2020/1/27時点で、報道メディアでは4人目の感染者について発表していましたが、
厚生省の発表では、2020/2/23現在、国内感染者は144名(患者125名、無症状病原体保有者16名、陽性確定3名)となっており、
毎日10〜20名の感染が確認されており、今後も増加していくと考えられています。
そして、中国での死亡は2/22時点で2300人超、感染者約7万6000人とされています。
一緒に働く感染症専門の看護師も日本でも流行る、なんてことを言ってましたが、その通りになってしまいました。
米ジョンズ・ホプキンス大学は、世界各地の感染症に関する情報をリアルタイムに表示する感染者マップを作成したそうです。


□新型コロナウイルスの症状と年齢
以前流行ったSARS、MARSともに基礎症状の多くは風邪症状から始まり、
発熱、呼吸困難となるケースが多いようです。
今回の新型コロナウイルスも、発熱や咳などといった風邪症状で見つかっているケースであるようです。
しかし、体力が低下していたり、もともと抵抗力のない方は、
そのまま重症化し肺炎に移行すると命に関わる場合もありえます。
そして、このような新しい感染症が流行ったあと必ず言われるのは、
高齢者や基礎疾患をもつ方の死亡率が高かった、といことです。
下記の表は、以前流行ったコロナウイルス感染症(SARS、MERS)のデータまとめの一部です。

参考:小児内科 Vol. 49 No. 11,2017‒11
年齢の差があるので、死亡率の差はあれど、
どちらも重症肺炎になると発症後1〜2週で人工呼吸器を装着したり、 その後死亡に至っていますが、
その多くが、糖尿病や高血圧、腎臓病を患う高齢の方に多い、ということ。
子ども感染が少ないのは、感染者が多い地域での封じ込めなどの対応が功を奏している可能性があります。
しかし、日本などの感染発生地域ではない場合、 感染者がわからないままウイルスが運ばれてくるので、安全とは言い切れません。
つまり、SARSなどで患者数が少ないことは、 子どもが安心と言うことではないので、子どもの感染予防、 子どもからの感染予防に注意する必要があります。
◎対応力の弱い、高齢で、なおかつ基礎疾患を持つ人は肺炎が重症化しやすい可能性がある
■実はよく知らない?ウイルスから身を守る基本方法
新型コロナウイルスは、未だ正体が不明確であり、
そのためにワクチン作成にはまだまだ時間がかかります。
ちなみに、SARS、MARS共に、ワクチン開発の前に感染拡大が終熄してしまいワクチンが作られていないのが実情だそうです。
だからといって、今回の新型コロナウイルスが終熄するとは限りません。
そのため、唯一の感染予防は、感染経路をできる限り絶つことです。
京都医学会雑誌, 65(1), 53−55、2018
コロナウイルスの基本的な感染経路は、
・飛沫(ひまつ)感染
そのために必要なことは、
・ウイルスをすぐに引き剥がす
ことです。
□ウイルスに触れない(正しいマスクの考え方)
当たり前ですけど、外に出ずに生活するにはもう少しテクノロジーが発達しないと難しいですよね。
外に出るときにできることは、人ごみを避けること、感染者の多い地域に行かないことの他に、
マスクをすることが重要と言われています。
マスクは本来、咳エチケット、
つまり、自身のもつ風邪ウイルスなどを他者に飛ばさないことを目的にしています。
なので、感染予防としてのマスクのつけ方が重要になります。
マスクは基本的に防具ではないので、
外を出歩いたり、清潔でない手で触るなどをした場合は、すでに感染源として扱います。
そのため、1日中同じマスクをしたり、外したりしている場合、すでにマスクにウイルスが付着している可能性があるので、マスクをしている意味はあまりありません。
これはインフルエンザの予防と同様です。
なので、次の話にも繋がりますが、ウイルスを一定期間防いでくれたマスクは、
外出をするといった役目を終えた時点で、処分し、ついたかもしれないウイルスを引き剝がしましょう。
□ウイルスをすぐに引き剥がす(基本中の基本)
ウイルスを引き剥がす一番の方法は手洗い・うがいです。
当たり前すぎでしょうか。
いやいや、間違いなくこれが一番感染率を下げる方法です。
マスクを外した後なども含め、ウイルスに触れたものを触った後は、基本的にこの行動はマストにすることが標準的な感染予防方法です。
つまり、出かけた後のコートや洋服なんかも可能な限り洗ったり、除菌できることが望ましいでしょう。
◎こまめに手洗い、うがい、できたら顔も洗おう!そして、むやみに顔を触らない!
◎帰宅したら着替える。そのままで過ごさない
■ウイルスに負けない身体づくりの方法
最初に言ってしまうと、ウイルスや細菌感染を予防するには、
ベースとなる身体状況が良いに越したことはありません。
風邪をひいた時、風邪に効く薬はない、というのをきいたことがありますか?
風邪は普段から受けている外的なストレス(ウイルスなど)に体が耐えられなくなった時に起こるものです。
感染をしないためには、感染源の毒素より、ヒトの免疫力が勝っている必要があります。
なので、普段からの免疫力を高める規則正しい生活
が最も重要です。
月並みで申し訳ないのですが、現代人はこれが一番難しい。
そして、風邪をひいた時は、栄養をとって暖かくして安静にする以外、早く治す方法はありません。
したがって、仮に感染を起こした場合でも身体状況が良いことは、その後の回復にも影響します。
□感染予防と栄養
最後に、免疫力を高める栄養素について紹介します。
急性呼吸不全による人工呼吸器患者の栄養管理ガイドライン, 2010
急性の重症感染などで免疫機能を高めたり、調節することを助ける有名な栄養素は大きく3つあります。
- アルギニン
- グルタミン
- n-3系脂肪酸(DHA、EPA)

アルギニンとグルタミンは、アミノ酸の中でも成長ホルモンの分泌を促進し、たんぱく質の合成力を高め、さらに、リンパ球などの免疫反応を亢進させると言われています。
どちらも肉、魚、豆などのタンパク質食品から摂取できるのですが、
アルギニンは豆類、グルタミンは肉、魚、卵などに多いとされています。
n-3系脂肪酸は、青魚度で有名な油です。
植物由来ではえごま油や亜麻仁油があります。
どちらもヒトの体では生成できないので、積極的に取り入れたい油です。
タンパク質や油は熱によって変性してしまうこともあるので、生で食べられるものはなるべく生で食べられることが望ましいと考えます。
最初に書いた通り、最も大切なのは規則正しい生活です。
つまり、免疫栄養学的には重要なものであっても、他の栄養素が足りていなければ感染に強い身体づくりはできません。
◎大事なのはバランスのとれた食事・睡眠・運動による日々の体力の維持・向上!
◎免疫機能はアミノ酸が主成分であるため、低タンパク食には注意しましょう

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普段は、専門看護師と働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramやブログを使って発信しています。「はじめまして」はこちらから。