医療とテクノロジーは切っても切り離せない関係ですが、
今後、というか現在進行形で密接になっていっています。最近では、AI(人工知能)による分析技術の発達や、
モノにインターネットが繋がるIoT(Internet of Things)によって自律的にそれらが動く、スマート家電、スマート工場などが有名でしょうか。医療分野でのそういった産業革命によって大きく2つの変化があると言われています。
1つは医療のオーダメイド化。
もう1つは付加価値の提供です。

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□医療のオーダメイド化、って今さら?
これまで消費者というのは、大量生産されたものから選択していくという受け身の姿勢でした。
しかし今後、第4次産業革命によって、自分好みの品物を注文していくことが可能になると言われています。
医療においても、薬や手術なども、自分の希望に合わせて対応する時代が来るかもしれません。
これまでは、基本的に医療専門家の説明に対し、必要な治療を患者側が意思決定するという構図があり、
意思決定支援、インフォームドコンセントという言葉が重要視されたのも、ここ15年くらいなんじゃないかと思います。
現時点で患者の対応仕切れてないのに、さらなるオーダメイド化って想像できません。
□アフターサービスは看護師の悲願
もう1つの付加価値の提供とは、
これまでの商品は、消費者の手に渡ったらビジネスが終了していました。
しかし、IoTが導入されたモノでは、その後のアフターサービスも可能になるかもしれないのです。
電球一つであったとしても、電球内のセンサーが稼働状況などをデータ化し、ビックデータとして集積、
さらに、効率の悪い使い方やトラブルの可能性に対する改善のためのアドバイスなどの連絡ができるなどです。
こういったことが、患者に埋め込まれるデバイス、身につける機器、スマホなどによって加速することはすでに考えられているところです。
循環器領域であれば、ペースメーカーやCRTなどの機器による遠隔モニタリングなどはすでに知られている通りですし、
地方などで行われるテレモニタリングなどの技術なども発達していくことでしょう。
病棟でよく起こる内服や転倒のインシデントなどでも、こういったデータの積み重ねが、
看護師による業務上の問題をしてきしてくれ、
課題解決などにも役立ってくれることを期待しちゃいます。
□医療4.0
技術革新の流れは医療界の変化も不可避にしています。
人の行動やバイタルデータだけではなく、住環境などまでもデジタルデータとして集積できるようになると言われています。
それだけではなく、5Gなどによって超高速で大容量の情報の送受信も可能になり、遠く離れた場所からも、視覚、聴覚はもちろん、触覚や嗅覚をつかっての診療行為ができたり、
VR下で手術を行うなどもすでに考えられているのです。
ロボットが人の思考や労働の手助けができるようになるのはもう目の前かもしれません。
そういった、日本で起きるであろう医療の進化を、医療4.0と呼ばれています(加藤:医療4.0)。
戦後医療提供体制ができた「医療1.0」
高齢化が懸念されて老人保険法の制定や高齢者保健福祉10ヶ年計画であるゴールドプランの策定が行われ今につながる介護施策が進んで来た1980 年代が「医療2.0」
そして、2000年代のインターネットの広がりとともに電子カルテをはじめとした医療のICT化が進んで来た昨今を「医療3.0」
そして、これから第4次産業革命時代の技術によって台頭するのが「医療4.0 」ということになります。
□どのようにテクノロジーと付き合っていくのか
医療4.0では、医療との接点が医療機関以外にも広がる「多角化」、
個人個人に応じたオーダーメイド化が進む「個別化」、
医療の主体が患者自身に変わっていく「主体化」が特徴です。
これまで、医師のパターナリズムがいい意味でも悪い意味でも貢献して来た医療がどんどん患者側に主体性がシフトしていきます。
それは、情報社会である昨今の状況ですでに感じているところですよね。
その上で、正しい情報とその選択についても患者側にシフトしていったとき、
僕らの役割はどうなっていくのかも考えなければなりません。
複雑な医療の知識を経験とその患者の持つ背景などによって統合的に考えて提供することをテクノロジーが代替していった時、医療者が人であることの差別化された理由は絶対に必要になる問題です。
特に僕ら看護師は、患者の意思決定を支援したりするときに、医師と違う立場をとることがありますが、
では、AIと医師、看護師とAIの違いはそれぞれなんなのか。
これは今後も研究、検討がされていくでしょう。
そういったところについては、きっとどんどん求められていくところなのかもしれません。
楽しみな反面怖いところでもありますが。
つづく
普段は、専門看護師、心臓リハビリテーション指導士として働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramやブログを使って発信しています。「はじめまして」はこちらから。