入院を4日間縮めた看護【計画開示は患者–看護師関係を作る儀式】

4月からの異動が決まり、病棟業務も最後を迎えました

この忙しい現場で、なかなか立ち止まって後輩たちと看護を語る場は少ないのですが、
今週、僕がCNSとして意識的に行った病棟特有の看護場面について振り返ってみたいと思います。

僕はこの看護場面(正確には1日の勤務内)で患者の入院期間を約4日縮めました(かもしれません)。
その理由は最後にお伝えします。

よくある入院場面ですが、こんな風にしたらいいかもよ、的な看護判断や関わり方のポイントになったら幸いです。

尚、ここにある情報は本来のものからは変更しており、ケアの内容や本質に基づいて記載しています。

けいた
この記事を書いているのは、看護師歴10年ちょっとの者です。
専門学校卒で10年目に専門看護師になりました。 普段は、専門看護師として働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramやブログを使って発信しています。「はじめまして」はこちらから。

 

■苦痛と反抗が強くて離床が進まない患者

症例

患者は圧迫骨折で入院し、疼痛のためにベッド上で動こうとせず、
食事などの日常生活援助は全て介助の状態でした。

褥瘡対策に体位変換を行おうとしても大声をあげて止めるように言ってきます。

病棟看護師は促すことを諦めて食事介助を行ったり、看護師2人介助で清潔ケアを行なっていました。

病棟スタッフの考えとしては、主治医に相談し、痛み止めを変更したり増やすことで、自力でできることを増やそうと考えていました。

 

□苦痛がある患者の看護のポイント

苦痛が強い患者の場合、苦痛が常時ある場合は、苦痛の除去が絶対ですが、
苦痛があるときと無いときがある場合は、患者の症状の評価と看護師側の症状の評価の乖離が援助をするときの妨げになるだけではなく、
患者–看護師の関係にも乖離を引き起こす場合があります。

この患者も標準的な看護計画にサインはしていたものの、今後自分がどうなるのか、どうならなければいけないのかということは認識しておらず、
早期離床を進めたい看護師の意図も患者には不明確であり、入院しているのだから援助してもらえばいいとしか考えていませんでした。

 

□患者役割と看護師役割の認識を促す

僕はまず、患者の疼痛の評価を行うとともに、
看護師として、患者にどのようになってもらいたいかという話をしていきました。

それには、お互いの役割を作っていくに当たっての、大事な儀式みたいなものであり、
看護計画の開示には、その意図があるべきだと常々思っています

看護師としてやること、できることを伝えるだけでは、患者が今後できるようになった方がいいことも、ずっと看護師の仕事として見られてしまいます。

そうなればいつまでも介助量は減らず、場合によってはリハビリが進まない、自宅に中々退院できないということが起きてしまいます。

今後入院してくる段階の世代からのお年寄りは、医療をサービスとして捉えていることも多いので、いわゆるワガママに見える患者が増えるでしょう。

でもそれはおそらく、医療者としての説明も不足していると考えています。

 

□患者の信頼を勝ち取る看護の必要性

そのようなドツボに入ると、多くの場合は、医師に病状説明をしてもらい患者に頭を切り替えてもらってリハビリをしてもらう、家族に叱咤激励してもらう、ということがよくあるパターンかと思いますが、

僕の場合は、入院期から今後の患者の退院後の生活をイメージした上で、
入院中の患者の生活をそれに向けて進めていくことを共有することから始めます。

計画の開示はその後、です。

それは決して事務的な作業ではなく、患者が自分のことを考えて計画を立てようとしてくれている、という認識にもっていくという、患者—看護師関係を作っていくための目的的関わりです。

そして、その関わりは、病態や治療の知識を利用した看護師としての知識や技術を利用したものだと考えています。
少しわかりにくいですかね。

もちろんその為には、患者のもつ苦痛への理解を示し、苦痛緩和のための支援(日常生活援助、薬剤の適正投与など)は重要です。

それらを行うことで、患者の日常生活の不足を補いつつ、もともとのセルフケアの再起を意図的に促すのです。

それ(看護計画)を臨機応変に評価・変更させつつ患者とともにリハビリや離床を進めていくところに個別性のある看護があり
医者の病状説明を特別入れなくても、看護師と医者が連携さえ取れて入れば、通常の医師指示だけでリハビリは可能なのですね。

 

□とりあえず成果を出すためには

といっても、初期段階ではざっくりとした看護計画を立てていくことが精一杯です。

患者の目指す退院後の生活は、圧迫骨折であれば歩行しもとの生活に戻ることであると仮定すると、当院のような急性期病院+リハビリ病棟(地域包括ケア病棟)のある病院で完結させるのが一般的です。

そのため、大きな目標としては、体幹の装具を利用して自宅に帰れる
当院での目標としては、看護師とともに身の回りのことができるようになる、と考えました。

実はここも難しいところですが、身の回りのことを自分でしたい人であれば、動いちゃいけない人でもやっちゃう人がいますが、
この患者は何をするにも待ちの姿勢でした。

僕らとしても患者の離床が進むことが大事だと知っていても、介助量を減らしたいというのが本音としてもありますので、
まず介入初日に食事介助から脱してもらうことを目標にしました。

自惚れではなく、僕が介入することですぐ成果を出すこともCNSとしては重要です。

したがって、病棟看護師が一番負担に思っている人数と時間のかかる食事介助を無くすこと、
あとは患者が体位変換時に大きな声を出すことも病棟看護師の困り事だったので、体位変換のコツやタイミングを患者と考えることを、その日の介入にしました。

患者自身もいずれは自宅に帰りたいと思うことが普通(そうではない患者もいますが)なので、長期目標については納得されることが多いですよね。

なので、そのために必要なスモールステップをいかに患者と立てていくかが大事になります。

患者には長期目標から逆算して短期目標を意識してもらうことを促しますが、
僕の計画としては、その日のうちの食事自立を目指していたので、朝の挨拶から昼食までにやることを逆算して決め、
さらに夕方以降の体位変換の向けての関わりの計画を立てました。

ちなみに、1日がかりの予定でしたが、今回は午前中で全部終わりまして、昼食も夕食も自分で食べることができました。

詳細は書いていきますね。

そして、これらを会ったこともない、入院して1〜2日の患者情報だけで計画できるようになったのは、患者の病態的な特徴だけではなく、

病棟スタッフの詳細な看護記録(という名の困りごとリスト)と、病棟の特徴を知っているからできることなのかなと思っています。

 

□患者の症状評価のコツ

患者の評価は難しくないと言ったら御幣がありますが、大事なことは患者が体験している症状についてしっかり聴き、共感することです。

症状による苦痛というのはとても主観的なものです。

医療者が患者に起きている症状に当たりをつけて、「痛み止め飲んでるから大丈夫」という評価をして離床を図ったりケアをするのは、患者の苦痛に共感はしてませんし、

本来あってはならない行為です。

だってそれは患者にとって傷にからしを塗られて、「痛み止め飲んでいるから大丈夫」と言われているのと根本的に同じかもしれないからです。

患者は自分で痛くない動作やベッドアップの高さもわからない状況だったので、患者自身に痛くない動作を知ってもらうことから始めました。

それにより、今後自分でできる必要のある日常生活動作や退院後の生活に向けた目標のためのステップを考えやすくなります。

病棟看護師の悩みの1つであった体位変換については、オムツ交換をしながら患者のペースに合わせて即買いをフォローしたりお尻をあげれば疼痛の出現はほとんどなかったので、
体位変換をする時間(4時間ごと)を長めにとるなど、患者が安心して援助を受け入れられるようにしました。

また、食事を食べるには、ベッドを90度まであげなくても、45度程度でも食べられそうだったので、徐々にベッドアップして痛くないことを時間をかけて一緒に確認し、
同時に、食事を自身で食べることの必要性にも本人から語っていただいたので、昼食から開始することができました。

ここまでの関わりのために、細切れで援助しながらではありますが、1時間以上の介入を要したので、
これまでに関わった看護師が苦労された理由にも納得できました。

しかし、患者も説明をすれば必要性を理解してくれたので、苦痛への理解と目標設定への理解をもとめる支援を行うことで、半日で病棟看護師の苦労をクリアすることができました。

何より、患者の苦痛への恐怖に寄り添っただけで、僕の話に信頼を寄せて「じゃあ、やって見ましょう」と前向きになってくれたのは、
やはり患者が求めていたのは苦痛への配慮だったからではないかな、と思うわけです。

 

□これでやっと看護計画に納得してもらう

ここまでやって、スモールステップを踏んで徐々にADL上げていきますよ、ということを紙面にして、もう一度一緒に確認する作業を行います。

そうすれば計画の内容も、患者は自分に置き換えて考えることができないので、ただサインをもらうだけの標準看護計画では患者のためになりません。

この患者には食事スタートを本日の目標としたので、次の2日間で1日1回車椅子に挑戦してみることを提案しました。

無理しないでいいということを保障することで、じゃあやってみようかとなるわけですし、計画が生きていれば、僕の存在はもういりませんからね。

さらに車椅子の乗車に自信がついたら、食事は車椅子で食べるようにし、1日の乗車回数を増やしていくこととしました。

患者に離床を進める説明をする時は、よく1日寝たきりだと2歳年をとる、なんて例えをだします。

「すでに●日寝ているので、もう●歳ですね」、
「〇〇さんの●歳はどんなイメージですか?」「じゃあ自宅に変えるためにはもう起きないとダメですね」、とここまで具体的に話すかはわかりませんが。

でも、これまであまり入院経験のない高齢患者は帰っても同じように生活できると楽観的に捉えていることが多いのです。

体位変換でも、清潔ケアでも、車椅子乗車でもなんでもいいのですが、
自分の体の実感、筋肉の衰えなどを感じる中で、「これが●歳年をとったということか」、という実感は退院後の生活をイメージする上での体験としては重要ですので、
安全で苦痛がない範囲で認識を促すアプローチもうまく取り入れて見てください。

 

■まとめ

病棟看護師が、援助のタイミングややり方を患者が合わせてくれないことなどで、ちょっとイライラしたり、困る理由もよくわかります。

でもそこには目指す目標や計画が患者と共有されていないことがいちばんの原因であり、多くの問題のそこをクリアするだけで消えていくものです。

特に自分の受け持ち患者だったりすると、いちばん見えているようで見えておらず、他の看護師が対応した方がうまくいくこともありますし、
僕も他の看護師さんに教えてもらうことも多々ありました。

看護の面白さは、客観的に患者の主観を推察しながら関わり、患者の変化が回復や再起につながっていくことだと思っています。

それはもちろん難しいところでもあり、だからこそ苦痛と同様に、患者の主観的な体験を十分に聴き、理解することからしか看護は進められないということなのですね。

疾患による特徴があるので標準看護計画やNANDAのような看護診断のようなものもありますが、それらを理解した上で、患者に合わせて変更・修正することこそが看護や受け持ちとしての仕事の醍醐味だと思っています。

そして、患者と共有した主観的な体験を、
病状からアセスメントした医療者的な判断を踏まえて、今後の目標とこれからの入院生活における計画を立てるプロセスが、
病棟看護師のいちばん重要な関わりであると考えています。

そうすれば、1つ1つの清潔ケアや歩行運動、食事だって患者にとっては退院に向けた1歩になるのですから。

ちなみに現在、病棟看護師は患者が自分で行えるようになったことはあまり評価できておらず、
そのスピードに待っていられないから痛み止めを増やすように主治医に依頼した、というところです。

僕が初回介入してなかったら未だに食事介助してたと思うので、
その間4日、だから4日間退院までの期間を短くできたという成果としました。

まぁ継続しないと意味がないんですけど。

そして、病棟看護師さんの困りごとはある1人の患者さんの成長よりも、病棟患者全員の安全が第一なので、
次のステップに進むには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

 

 

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