人の手を加えないと食物を作ることも、食べることもできません。
だから食に関する科学や技術が現在まで発展してきたのだと思います。
でもそれと同時で不幸な結果も一緒に発展させてしまったという事実からも背を向けられません。

Contents
□人間と食
本来、栄養摂取とは外から体内に必要な物質を取り入れる単純作業です。
単純生物は身体の周囲にある水や入ってくる光によって体内でエネルギーを作り、活動をします。
微生物や植物は自分から栄養を摂取しにいかなくても摂取できるものだけで生きています。
だから環境の影響をとてつもなく大きく受けます。
それに対し私たち動物は自ら動いて栄養摂取をする生き物のことです。
だから食物を探す、温暖な環境に移るなどの環境を整えることや、
人に限らず、飢えを凌ぐために保存する方法を持ち、
そして作る術、食べやすくする術を学んできました。
□節約と貯蓄のDNA
さらに現代の人間において出現してしまった大切な課題は、
「自制をすること」です。
人類数千年の歴史の中で、食べ物に困らなくなった時代(全世界ではないので語弊はありますが)に突入したのは、
ここ数十年の出来事です。
つまりそれがどういうことか。
多分多くの人は分かっていることですが、
僕ら生き物がしなければならない大切な仕事は間違いなく「生きること」です。
そのための食事なのです。
つまり食べれない環境下でどうやって生き延びるかが
身体にとって最重要課題なのです。
その身体の最重要課題のための機能は、現在の飽食の時代になってもおそらく変わっていません。
つまりその機能とは何かと言うと、「エネルギーの節約と貯蓄」です。
身体は意識せずともこれを実践します。
動物は本来太りやすいDNAをもつ生き物なのです。
そのような身体機能をコントロールできない以上、精神機能で身体を守るしか方法はありません。
だから人間は学び、身体を守るための食事を考えてきました。
□栄養という人間だけの概念
動物は進化する過程でとても複雑な身体の構造になりました。
それと同時に消化吸収する機能が変化したことで、
他の動物と違い、草だけ、肉だけを食べればいいわけではなくなってしまいました。
だからバランスが重要となり、
栄養学の重要性が大きくなってしまったのもこういった背景が原因だと思います。
今、わざと原因と書いたのは、 バランスを摂らなきゃいけない、といった考え方自体に、 この栄養に関する様々な問題の根幹があると僕は考えているからです。
つまり、今の栄養学は、飽食の時代になったからこそ、 裏付けが必要に「なってしまった」学問なのではないかというのが、僕の私見です。
共感してくれる方もいるのではないでしょうか。
つづく

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【大切な人のための食事】
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【食物繊維と大腸の関係性①】【②】
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【カルシウムと骨折①】【②】
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専門学校卒で10年目に専門看護師になりました。 普段は、専門看護師として働きつつ、料理や栄養の知識なんかをInstagramやブログを使って発信しています。「はじめまして」はこちらから。